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  平成26年11月5日号社説
 

秋祭りの季節を迎えて

 実りの秋を迎えた皇居、生物学研究所横にある水田で十月二十六日、天皇陛下が恒例の稲刈りをされた。鎌で一株ずつ刈り取られたのはもち米のマンゲツモチ二十株で、陛下が春に自ら種もみをまき、五月に田植えをされた稲穂である。うるち米のニホンマサリは後日刈り取られ、両種とも平年並みからやや良の作柄だという。

宮中で新嘗祭
 天皇自らの田植えや稲刈りは、農作業を伝承するために昭和天皇が始められたもので、今上陛下はそれを引き継ぎ、新たに種もみまきも始められた。収穫された米は宮中で行われる新嘗祭などの神事に使われる。
 日本農業の衰退が叫ばれて久しい。GDPに占める農林水産業の割合は一九六〇年の9%から二〇一二年の1・4%へと減少している。もっとも、これは先進国に共通した傾向で、アメリカは1・1%、ドイツは0・9%、一位のフランスでも1・8%である。
 総就業人口に占める農業就業人口の割合は、一九六〇年の30%から二〇一二年の2・4%と急減しているが、フランスの2・2%、アメリカの1・8%、ドイツの1・7%に比べると大きい。専業農家に限るとヨーロッパと同じ2%くらいだとされる。
 一九六〇年以降、日本経済が高度成長を続けた時代に、農家の余剰な若者の多くが都会に移住し、第二次・第三次産業を支えた。その時代に農業でも機械化が進み、農業生産を向上させたのである。
 もっとも、自然条件の制約が大きい農業では、第二次・第三次産業のように効率化を進めることが難しく、さらにグローバル化に伴う海外からの安い農産品の流入にも対抗する必要から、様々な保護政策によって守られてきている。
 農林水産業は人間が自然にかかわる原始的な営みから発展してきたもので、その長い歴史の中から、先人たちが奥深い文化を形成してきた。それは第一次産業に留まることなく、第二次・第三次産業においても、働く人たちの基本的な倫理や技量として発揮され、ものづくりとおもてなしの国を発展させてきたのである。
 しかし、二〇一二年の農家の平均年齢が65・8歳という現実は深刻である。地方では、産業としての農業の消滅が地方の消滅に直結している。安倍政権が進めようとしている地方創生では、地域経済の中に農業を組み入れ、大規模から小規模まで様々な形態の農業が成り立つような工夫が求められよう。
 秋には各地で秋祭りが行われるが、それらの基本は収穫祭で、アメリカの感謝祭など世界各地に同様の祭りがある。十一月二十三日、宮中三殿の近くにある神嘉殿で執り行われる新嘗祭で興味深いのは、五穀の新穀を天神地祇に供えた天皇陛下が、自らも食されることである。神事における直会のように、神と人が共に食するという古くからの信仰の形で、神々を敬い畏れながらも、身近な存在として接してきた日本人の神観の表れと言えよう。
 日本の神話によれば、天皇は天照大神の子孫で、稲穂を通じて豊穣の力を受け継いでいる。皇祖神に捧げた新穀を食すことには、神からの力を新たにし、翌年の豊穣も約束する意味合いがあるのであろう。国家が形成されると、収穫物は重要な蓄えであることから、新嘗祭は大事な行事として飛鳥時代、皇極天皇の御代に始められたという。
 同日、伊勢神宮では内宮で天照大御神にお食事をお供えする大御饌(おおみけ)の儀が行われ、続いて天皇陛下の勅使が陛下からのお供え、幣帛を奉る奉幣の儀が行われる。日本文化の核心となる神事が、宮中と神宮で同日に行われるのである。

祭りが人を育てる
 社会が成長型から定常型に移行した今、世代を超えての地域の持続性が重要になっている。地域の経済や政治、文化の担い手として次の世代を育てる仕組みとしても、祭りは古来から機能してきた。
 子供のころ、楽しみとして参加し、年を重ねるにつれて役割を得、やがて指導する立場になっていく。その意味で、祭りは地域の教育システムでもあり、その観点から、実情に合わせて改革していくことも必要であろう。

クョスコニョ    [1] 
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