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  平成26年12月5日号社説
 

伝統と革新で国づくりを

 衆議院議員選挙の投票日の直前、十二月十日から特定秘密保護法が施行される。これによって、日本でもようやく統一的な法律に基づく秘密情報の管理が行われることになる。一九八五年に、いわゆるスパイ防止法案が自民党議員らによって提案されたときには、野党はじめメディアの大反対のため審議未了廃案となった。当時より、北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の軍事拡張など日本の防衛環境は厳しさを増し、日米同盟を基軸に国を守るしか現実的選択のない日本にとって、制定が待たれた法律である。日韓関係にも改善の兆しが見えてきたが、これが第三国への情報漏洩防止を図る軍事情報包括保護協定の締結につながるかどうか注目したい。

国家のデザインを問う
 今回の衆院選挙では、アベノミクスに加えて集団的自衛権の行使容認も一つの争点になるだろう。安倍政権がデフレ脱却と合わせて一貫して進めてきたのは、国民の生命、財産、そして領土を守るための環境整備である。それが政府にとって第一の責任であるからに他ならない。
 集団的自衛権の行使について言えば、わが国の軍事的脅威になりうる国の戦力を見ると、日本一国だけで防ぐことは不可能で、自由と民主主義の価値観を共有する国々と協力するほかに道はない。現実的に防衛協力を進めるには、人的交流や装備の整合、法的整備などが必要である。機密保護法の施行と集団的自衛権の行使容認は、日米の同盟関係を深めるものであり、韓国との関係で言えば、懸案の軍事情報包括保護協定はその第一歩にすぎない。そうした国家としての大きなデザインが、国政選挙の争点になるべきだろう。
 冷戦構造が崩れ、グローバルな競争社会になった二十一世紀、日本に求められているのは明治維新に匹敵するような回転だと言えよう。来年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は長州藩から見た幕末・維新の物語で、尊王攘夷の高まりを統幕へと進める上で、最大の契機となったのは長州藩による大割拠(独立)宣言である。安倍晋三総理を生んだ山口県の歴史に、その秘密があった。
 長州藩毛利家の始祖は、京から源頼朝に招かれ、鎌倉幕府の体制づくりに貢献した貴族の大江広元である。広元の四男が領地の毛利荘(現在の神奈川県厚木市)にちなんで、毛利季光(すえみつ)を名乗ったのが初代。広元の祖先は平城天皇の第一皇子・阿保親王の落胤で、それゆえ毛利家は阿保親王を遠祖としている。
 阿保親王は薬子の変に連座して大宰府に流されるなど波乱の生涯を送り、没後は芦屋の地に埋葬され、近くの親王の住居跡に親王寺が建立された。歴代長州藩主は参勤交代で芦屋に差し掛かると使者を親王塚に参らせ、藩主は親王寺で休息していた。吉田松陰も江戸遊学に向かう折、親王塚に参り、長州藩は阿保親王八百五十回忌に親王塚周辺を改修している。こうした経緯から、毛利家は武家伝奏を通さずに皇室と接触できる特権を黙認されていた。萩博物館高杉晋作資料室長の一坂太郎氏は「主家が皇室と縁続きであることを、萩藩士は誇りとした。その誇りが幕末に起こる数々の騒動の根底にある」と言う。
 戦国時代、毛利元就は中国地方のほとんどを支配下に置いていたが、輝元が西軍の名目上の総大将となった関ケ原の戦で東軍に敗れ、領地安堵の約束を破った徳川家康により周防・長門に減封された。その積年の恨みと皇室につながる誇りが、幕府による征長軍に攻められたとき、藩論を独立で一つにしたのである。背景には列強の脅威があり、吉田松陰が天皇を中心に日本を再生する構想を打ち出していたことは周知の通りである。

人材と経済の力
 加えて、長州藩には討幕を可能にするだけの経済力が、行財政改革や貿易などの産業振興によって実現されていた。高杉晋作は、国民軍の始まりとも言える騎兵隊を、身分を超えて創設した。藩校の明倫館や松陰の松下村塾における教育力の成果でもある。
 時代や環境は異なるが、国を強くするには国民一人ひとりが歴史に学んで自らの思想を深め、現実的には経済活動を中心に富の拡大を図ることが必要なことに変わりはない。

クョスコニョ    [1] 
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