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平成26年11月20日号[天地] |
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吉村昭の小説『海も暮れきる』は、四十二歳で亡くなった孤高の俳人・尾崎放哉(ほうさい)の生涯を描くもの。放哉は、種田山頭火らと同じく自由律俳句の著名な俳人で、「咳をしても一人」「いれものがない両手でうける」などの句を残した▼東京帝大法学部を卒業し、東洋生命保険に就職して大阪支店次長を務めるなど出世コースを進んだエリートだが、酒癖が悪かったことから会社を追われ、美しい妻とも別居する。一時、一燈園に入って俳句三昧の生活を送るが、創立者の西田天香に反発し、知恩院の寺男になる。その後も地方の寺で流浪の歳月を重ね、最後に小豆島の寺の南郷庵で八カ月を過ごし、肺結核で亡くなった。自身も肺結核に苦しんだ吉村は、死を見詰める放哉の心境を実感を込めて書いている▼吉村が小豆島を取材すると、放哉の評判は最悪で、どうしてあんな人を小説に書くのかと言われたという。最後は寝たきりになった放哉を、下の世話まで面倒見たのは近所の漁師の妻と寺の小僧。山折哲雄氏は「二人に任せ切ったから晩年を過ごせた」と言うが、放哉が身を寄せた西光寺は小豆島霊場第五十八番札所で、やはりお接待の文化が根付いていたからだろう。四国霊場と同じく、小豆島霊場も今年、開創千二百年を迎えている。
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