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社説
   平成18年4月5日号
 

佐々昌樹・まこと幼稚園園長・萬昌院功運寺住職に聞く
「いただきます」の心を大切に
生と死を学ぶ幼児教育を

 

園庭の畑でダイコンの収穫をする園児たち

 

 生と死の実感が失われつつある現代、子供たちに命の大切さをどう教えるかは幼児教育の大きな課題だ。東京・中野区の曹洞宗萬昌院功運寺・まこと幼稚園では、小動物の飼育や米、野菜の栽培、ビオトープ観察など自然環境を生かした教育を行っている。お釈迦様の誕生を祝う「花まつり」に寄せて、命の大切さを教える幼児教育について考えてみた。

 まこと幼稚園に入園すると、三歳児は、まず園庭で遊びながら小動物や植物と触れ合う。幼稚園で飼っているウサギやアヒルに餌をあげ、幼稚園の池からオタマジャクシを取って部屋で飼育し、カエルになる過程を観察。梅雨の時期には園庭で見つけたカタツムリを飼うなどする。
 梅雨が明けると、園庭にはセミ、トンボ、チョウ、バッタなどの昆虫が増え、子供たちの興味を引く。虫に触る子、握りつぶす子もいれば、怖くて触れない子もいる。二学期になると、身近に生き物を感じてきた体験から、小動物を大切に扱うようになる。
 四、五月ころ、タイサンボクの葉やボタンの花びらを集め、木の葉のお皿に砂のケーキを載せ、ケーキを作ったりして遊ぶ。帽子に大きな葉を貼り付け、ウサギに変身して遊ぶ子も多い。畑ではナスやピーマン、キュウリなど夏野菜の種をまき、苗を植える。十一月末には落ち葉焚きと焼きいも大会を行う。
 教室には大きな「自然マップ」を張り、子供たちが発見してきたものを描き込むようにしている。それによって子供たちはいろいろな動植物について知識が広がる。
 四歳児になると、一年間の経験から、細かいところにも気付くようになり、それを先生に報告してくる。「テントウムシは何を食べるの?」「星の数が違うのがいる」など疑問を持ち、図鑑で調べる子も出てくる。六月には小さな水田に稲の苗を植え、九月に収穫する。全部で一升少し、一人当たりスプーン一杯にしかならないが、子供たちは自分で作ったお米の味に感動する。
 十月にオオカマキリを見つけ、部屋で飼い始めた子がいた。図鑑で餌を調べ、シジミチョウを捕まえて与え、餌を食べる様子に驚く。庭でコカマキリを見つけた子が、友達ができたと喜んで同じ容器に入れると、すぐに食べられてしまい、衝撃を受けた。そこから、食べることの意味について話し合うこともある。
 五歳児は、園庭にあるビオトープを観察する。先生と一緒に水温や気温を測って記録し、自然の変化により深く観察できるようになる。ビオトープ観察は五歳児にしかできない大切な仕事というイメージがあり、意欲的に取り組む。小さな池だが、サギが飛んで来て、オタマジャクシを食べたりする。そんな自然界の命のやりとりも体験している。こうした自然活動の意義を、佐々園長に聞いた。
 
死を通し生を教える
 ――今の子供たちは死の意味が分からないといわれる。
 子供たちが死について考えるのは、身近なものの死に出合ったときだ。幼稚園では飼っている動物や魚、昆虫、庭で見つけたアリが運んでいる虫の死骸など、死は日常の中にある。限られた環境で飼育するキンギョや小鳥なども短命で終わる場合が多い。気を付けて見ていれば、身の回りで生き物の死に接する機会はかなりある。
・・・

 

 

 

「もったいない」「おかげさま」すべての命を大切に


佐々昌樹・まこと幼稚園園長・萬昌院功運寺住職

 

――「命を大事にする」とは具体的にはどういうことなのか。
 私は命を生かし尽くすことだと思う。食べ過ぎは命を生か
していることにはならない。今、見直されている「もったいない」の根底には、互いの命を大切に扱うという思想がある。食事を取る時に「いただきます」とあいさつするのには、「あなたの命を頂戴します」という意味で、謙虚な祈りでもあり、「おかげさま」につながる。
 禅宗では食事に関する「五観の偈(げ)」という教えがある。

@食べ物が料理されて自分の前に出てくるまで、手間を掛けていく多くの人に感謝するA食べ物の命を食べる資格が自分にあるか反省しようBむさぼり、怒り、愚かな心をなくせC正しい心できちんと食べようD仏の教えに従う正しい生活をするために食事をいただく――というもの。
 曹洞宗では食事を作る修行が最高の修行とされている

。人は最初、食べ物のために争い、今の利権争いもその延長線上にある。人徳円満な人でないと、争いにならないような食事を作ることはできない。人間の心の三毒(むさぼり、怒り、愚かさ)を整える上で、食事の態度が非常に重要になる。それを踏まえると、教育で食事をどう扱うべきか。笛の合図で食事を始める先生がいるという現実に空恐ろしさを感じる。食事は一日三回、それを教育に活用すれば、大変な教育機会になるのに、何も教えようと

していない。
 本園では、園児たちが畑で野菜を作り、収穫し、調理して食べている。すると、野菜が嫌いな子で
も食べる。食べ物に対する感謝の気持ちが芽生えているからだろう。夏野菜などはプランターでも栽培できるので、マンションの家庭でも取り組むことができる。身近なことから考えさせるのが大事で、工夫次第でいろいろな展

開が可能だ。宗教系の幼稚園では、そうしたことが重要視されていると思う。
 もっと言うと、紙にも紙の命があ
る。ちょっとだけ書いて捨ててしまうような無駄をしない。道具にも命、使命があると考えると、それを全うするまで使うことが、ある意味、成仏になる。・・・

 

<2面>

  • 『ユダの福音書』4月末に公刊
    ユダは英雄、使命果たした

  • キリスト教改宗男性を釈放
    欧米からの強い要請受け
    アフガニスタン

<3面>

  • 京都に「論語」の私塾
    子供も「子のたまはく…」

  • 連載・日本人の霊性 一茶(1)
    故郷回帰への長い道

 

<4・5面>

  • 花まつり特集
    本紙講演会
    国際平和と仏教の役割――仏陀生誕2550年記念
    今こそ「十七条憲法」に帰れ
    仏教徒は平和に対し能動的に

<6面>

 

  • 京都で第10回神道セミナー
    「自然との共生」語り合う
    神道国際学会

  • 日本イスラエル親善協会講演会
    ユダヤ教の人間観、女性観

<7面>

 

  • 全日本仏教会理事会・評議員会
    大道晃仙曹洞宗管長が会長に

  • 漫才師・春風ふくた師匠
    「霊界落語」上演に意欲
    大本東京本部

<8面>

 

  • 人・浄土宗寿栄山依報院泉福寺住職 金子良孝師
    山里の福湧き出づる寺
クョスコニョ    [1] 
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