立ち上がれ日本の宗教者 世界救済の鍵を握る日本 グローバルな発想でローカルな活動を 本紙代表 前田外治
初春の陽光輝く新年に当たり、皆様には日頃のご愛読に感謝し、新春のご挨拶を申し上げます。 わが国では、今や「宗教」に対する一般的な関心は薄れ、国民の倫理道徳を育成すべき柱を失っているかのように感じられます。マスメディアで宗教が正しく取り扱われることは少なく、公教育においても、宗教に触れることは許されないかのように扱われています。だからと言って、日本人の心から宗教性が失われてしまったとは思えません。 新年には、家族と人々の幸福を祈り、国家世界の平和を祈願する気持ちを持って神社仏閣を訪れる参拝者の姿に、日本人の宗教性をうかがい知ることもできます。 日本のよき伝統として育んできたこの宗教性を、より世界的次元へと発展させてこそ、世界の中で日本がその天命を果すことができるのではないかと、全国各地の宗教指導者の皆様にお会いするたびに感じてなりません。 かつて、国家存亡の危機に際しては憂国の情に突き動かされた宗教者が国家の行くべき方向を語り、預言者が現われては、人々の覚醒を促しました。また、幕末から明治にわたって多くの新宗教が興ったのも、同じ流れにある現象かと思います。天の啓示を受けて、倫理道徳の腐敗を正し、心の変革と国家の再生を訴えました。 今日においても宗教者の使命は変わるものではなく、かつて衆生救済に燃え、あらゆる迫害をものともせずに邁進して来たその使命感を世界的次元に高め、超宗教的に取り組むことが課題なのではないのでしょうか。 昨秋、世界の宗教指導者が東京に集まり、平和の祈りを捧げる一場面に遭遇しました。それぞれの聖地から持ち寄った聖き水を、日本の土で練り上げた陶器に注ぎ込む時、それらが一つに混ざり合って、一層の霊気を放つのを感じたものです。 それは、あたかもアジアに端を発する諸文明が、ギリシャ・ローマ文化と融合しながら、西へ西へと動き、キリスト教文明も、イギリス、アメリカを経て、極東へと回って来たことを象徴するかのようであり、世界の諸宗教が日本において新たな和合の時を待っているかのようでした。 新千年紀の新しい文明の胎動が続いております。産みの苦しみの時でもあります。極東アジアから環太平洋圏が注目を集める中、そこを土台とする新たな文明の基として、超宗教的な和解と協力が不可欠であり、その先導を日本の宗教者が果さなければならないように思えてなりません。 アメリカ一国の金融危機が世界に波及したように、グローバル化した今日、日本の宗教者が大同団結して起こす新たなビジョンと運動が、世界救済にとって大きな影響力を持つ可能性がないとはいえません。 日本のあらゆる宗教伝統が、対話と協力の末に一つの共通したビジョンを見いだし、国民大覚醒の柱を立てることができれば、それこそが世界を救いうるものとなるでしょう。 「神の下の人類一家族世界の実現」というビジョンは、世界がどのように変わろうとも人類が向かわざるを得ない目標であろうと思います。 日本の伝統を大切に保持してきた宗教指導者の皆様が、グローバルな発想に立って、人類と世界の平和のために、今なすべきことを、地域社会、国内の隅々にわたってなしてくださることを念願し、年頭のご挨拶に代えさせていただきます。・
年頭のご挨拶
神社本庁総長 矢田部正巳
平成二十一年の初春を迎へ、謹んで新年を賀し奉ります。 畏くも、天皇陛下におかせられましては、御機嫌殊の外麗しく、本年、御即位二十年、御成婚五十年の嘉節を迎へられましたことに、国民斉しく慶祝申上げますとともに、この上は、大御代の弥栄を祈念申上げる次第です。 私どもが本宗と仰ぐ伊勢の神宮におかれましては、平成二十五年斎行の第六十二回神宮式年遷宮に向けて、諸祭・諸行事をはじめ、その御準備が粛々と進められてをり、洵に慶賀にたへません。今後も民族の誇りである御遷宮の完遂に向けて力を尽くし、国民総奉賛の気運を昂めて参りたく存じます。どうか、今後とも、皆様方の一層の御理解御協力の程をお願ひ申上げます。 さて、昨今の世相は、経済不況、或いは政局不安等により国民生活に少なからず影を落してゐる中で、個人主義の風潮が昂まり、以前には予想も出来なかった様々な社会問題が次々と噴出してをりますことは、洵に憂慮に堪へない状況にあります。 かかる時代にこそ、私たちは鎮守の杜を中心に、祭祀の厳修と神社神道の興隆に努めるとともに、神道精神をもって道義の昂揚を図り、よりよい社会への回復を目指してゆかねばならないものと存じます。 結びに、皆様方の益々の御健勝と御多幸をお祈り申上げ、新年の御挨拶と致します。・
年頭のご挨拶
曹洞宗管長 大本山永平寺貫首 福山諦法
謹んで新年のお慶びを申し上げます。 天童如浄禅師語録の中に 四海浪平らかにして 龍の睡り穏やかに 九天雲浄うして 鶴空を摩す と、あります。仏教風に申すならば、須弥山をとりまく四方の海が穏やかのように、すべての世界が平和であれという意味と言えるでしょう。また、九重に雲のたなびく空が浄らかで、吉兆の鳥、鶴が舞うほどの澄んだ自然でありつづけて欲しいという、即ち天地の運行が順調にと願いをこめた祝讃です。 いつの時代でも、求めて止まないのは、人々の幸福と、衆生の共栄であり、言うなれば地球の安定です。 その為には、だれもが危機意識を以て、現状を観なければなりません。 去年は果たして安穏だったでしょうか。否!不幸な事象、残忍な事件が続発しました。大小の犯罪をしていながら、恬として恥じざる者が増えました。罪の三毒が増長し、やがて修羅戦争の惨禍をも招くでしょう。地球の破壊にも繋がりかねません。 今こそ人類は夫々の知慧を集めて、困難に対処する時かと考えます。どうか年の始めに決意を新たにして、衆善奉行し、世界平和の実現に御尽力下さいますよう切望致します。 仏教隆紹のもと、皆様の御健康、並びに御多幸を祈念いたします。 ・・
<6面>
- 第20回宗教法人指導者講習会
非違法人、9年で5倍に 文化庁
- オバマ次期米大統領就任式の祈祷
右派ウォレン牧師を起用
<7面>
- 天皇陛下御即位20年奉祝中央式典
国民を励まし祈り続けて
- 都仏教連合会「成道会の集い」
東儀秀樹氏らが記念講演
<8面>
- 第26回成道会布教大会
お釈迦様の生涯学ぶ 築地本願寺
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