平成23年度10月定例評議員会 1都15県で4585社が被災 義捐金12億8800万円集まる 神社本庁
挨拶する北白川道久神社本庁統理=10月14日、東京・代々木の神社本庁大講堂
東日本大震災では被災した社は一都十五県で四千五百八十五社。特に被害の大きかった宮城県、岩手県、福島県では三百九社が本殿・弊殿・拝殿が全壊・半壊した。死亡した神職は七人、不明一人であった。 事務局提出の議案十一号負担金賦課徴収に関する特別措置規定案など十八の議案は原案通り全て承認または可決された。議案十一号が可決されたことで被災三県に対し本庁負担金が平成二十五年まで七割五分減免になる特別措置が講じられた。 神殿拝礼、国歌斉唱、敬神生活綱領唱和、と開式の儀礼に続き北白川統理は参加者に謝辞したのち「神宮の御事、式年遷宮の準備は順調に進みご同慶に存じます。平成二十五年の第六十二回の式年遷宮には国民一人ひとりが神宮への崇敬の念を深め永く受け継がれてきた諸儀式諸行事が見事に執り行われますことを心よりお祈り申し上げます。さらにご神徳の宣揚に力を発揮していきたい」と述べた。 東日本大震災については「被災地と経済的混乱とがあいまって人々は心に不安を抱いています。私どもは神明に奉仕する者として、また日本人として心の支えとなる家庭祭祀の大切さをこれまで以上に伝えるとともに、祭祀の厳修に努めていかねばなりません」と家庭祭祀の重要性の再確認を希望した。 開議となり審議を進めた。小串和夫副総長(熱田神宮宮司)から平成二十二年度評議員提出決議案件七つの処理結果と業務報告があった。 処理結果の一つ、自主憲法制定の案件については「国民投票法が衆参で可決されたがそのあと憲法審査会の委員が選任されていない。本庁は友好団体と連携し委員選任に向けた働きかけを進め憲法改正の機運を醸成していきたい」と報告。 また業務報告のなかで不活動宗教法人対策については「約千社が不活動法人と疑われる。解散にともなう現地説明会、研修会を実施している。全国神社総代会に対して各都道府県神社総代会宛に協力を依頼した」。 北海道・空知太神社訴訟の最高裁判決を受けて「二千三百社が借地状況にある。借用地が公有地である神社は約四百三十社と判明した。判決後現状が維持されているが今後も動向を注視していきたい」。 東日本大震災報告「福島県沿岸では二百四十三社が被害状況の確認がとれていない。被災地は礼拝施設が滅失し法人事務や宗教活動ができていない。宗教法人法の解散命令に該当するような状況や提出書類の写しを所轄庁に提出できない場合も想定されるところから、柔軟な対応を文化庁宗務課に要請した。宗務課は当該県に対し善処している。復旧、復興にかかる建物の変更に係る認証手数料の免除を決定した。神社支援復興基金を設置し、更に・・・
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世界に広がる禅―国際シンポ 「進一歩」への課題探る 曹洞宗国際センター
曹洞禅の将来について議論が交わされた国際シンポジウム =10月4日、東京・港区の会場
曹洞宗国際センター(藤田一照所長)主催の国際シンポジウム「進一歩 未来への道をひらく曹洞禅」が十月四日、東京・港区の東京グランドホテルで開かれた。ハワイ、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパのそれぞれ国際布教総監が現地での布教の歴史と現況、将来について報告し、上田紀行東京工業大学准教授を交えパネルディスカッションを行った。参加者は海外から七十人、国内百四十人。 テーマに掲げた「進一歩」は中国宋代の僧、無門慧開の公案集『無門関』の「百尺竿灯に一歩を進む」から取ったもの。長い修行で悟りに至っても、そこに留まることなく、「さらに一歩、歩を進めよ」という意味である。 開会の言葉で釜田隆文教化部長は、曹洞宗の海外布教は一九〇三年のハワイ日系移民対策として始まり、百八年の歴史があること、現在外国人僧六百人、国際布教師百人余が活動していると紹介。宗門初の国際シンポの成果に期待を寄せた。 続いて、佐々木孝一宗務総長を導師に世界平和祈念大法要が、大震災物故者への追悼を込めて営まれた。 シンポに移り、文化人類学から仏教を見て、仏教の覚醒運動を展開している上田准教授が次のように基調講演した。 近年のグローバル化には二つの側面がある。一つは米国を中心にした経済の一元化で、バチカンのあるカトリックに似ている。もう一つは文化的な多元化、多極化で、縁起を説く仏教に似ている。インドに発祥した仏教は中国、日本の各地に伝播し、それぞれの文化的土壌で花開いた。曹洞禅は世界に飛躍して百年だが、今は世界での体験を日本が学ぶ時ではないか。国際シンポの意義もそこにある。 今、日本仏教は危機にある。多くの人に聞くと、仏教→日本仏教→日本の寺→日本の僧侶の順番で評価が低くなる。僧はかつてのように尊敬されなくなった。私は高齢の高僧に現状の解決策を聞かれると、あなたが引退することだと答えている。彼らにとって若者は外国人のようなものであり、むしろ外国での布教体験が役立つ。仏教には境界を超える特質があり、曹洞宗も日本が本丸ではなく、世界に中心があると考えるべきだ。 ロサンゼルスのスタンフォード大学で教えて驚いたのは、仏教の知識が東工大の学生以上にあり、さらに女性の仏教徒が多いことだ。日本仏教は家の宗教として続いてきたが、今は個人の宗教を求める人が大半だ。もちろん宗教にはコミュニティーを支える側面もあり、その両面での「進一歩」が求められている。 私は二歳の時に父が失踪し、思春期には母に反発して家庭が崩壊した。癒やしを求める中で仏教に出会い、家族を捨てた父がいつも私の側にいるという縁を知った。 今の日本は、先の大戦の敗戦、九〇年代の経済敗戦に次ぐ第三の敗戦で、それは信頼・安心の敗戦だ。二〇〇五年に小泉首相が「すべての議員は使い捨てだ」と言ったので、東工大の学生に感想を聞くと、半数が同感だと言った。これでは若者に希望はない。 大震災に伴う原発事故には、・・・
<2面>
- 行き詰まる「アラブの春」
イスラム至上主義が障害に
- 例会で稲場大阪大准教授が講演
大震災に宗教のあり方問う 国際宗教同志会
<3面>
- 統一運動の考え方と活動
宮城県石巻市でボランティア 体験を通し多くのことを学ぶ若者たち
<4面>
- 明治天皇第百年忌祭
法華宗真門流本隆寺で厳修 京 都
- 御鎮座1300年奉祝大祭
多彩な神賑プログラムで賑わう 伏見稲荷大社
<5面>
- 平成23年度宗教法人実務研修会
被災地に指定寄附金制度適用 文化庁
- 震災と宗教を考えるシンポ
もう一つの生き方を探る 全国青少年教化協議会ほか
<6面>
- 人・児玉神社宮司 山本白鳥さん
台風被害の児玉神社社殿修復を
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