開山・栄西禅師 800年遠忌 特別展「栄西と建仁寺」始まる 国宝「風神雷神図屏風」など一堂に 東京国立博物館
再現された「四頭茶会」の空間=東京国立博物館平成館
今年は、日本人の生き方に大きな影響を与えた禅宗(臨済宗)を鎌倉時代に宋から導入し、武士をはじめ各層の人たちに広め、京都最古の禅寺「建仁寺」を開創した栄西禅師(一一四一〜一二一五)が没して八百年になることから、建仁寺では八百年遠忌が行われる。それに合わせて、栄西ならびに建仁寺や建仁寺派寺院ゆかりの宝物を一堂に集めた特別展「栄西と建仁寺」が、三月二十五日から五月十八日まで東京・上野の東京国立博物館で開催されている。前日の二十四日、記者内覧会が開かれた。
近年、栄西の著述などの研究が進み、その思想や活動が明らかになりつつある。本展は、そうした文献史料のほか、建仁寺にかかわりのある禅僧の活動を通して、栄西の伝えようとしたもの、そして建仁寺や臨済宗が日本文化に及ぼした影響など探る内容になっている。 栄西が二回目の入宋を前に執筆した密教に関する数冊の解説書は、栄西の思想の一端を示している。さらに仏教書の紙背から発見された自筆書状は、晩年に重源の後を継いで、東大寺復興の勧進責任者として社会活動をする姿を伝えている。栄西には禅を超えた多様な側面があったのである。 栄西は福岡・誓願寺に滞在中の治承二年(一一七八)七月、盂蘭盆に法華経一品経会を行った。この縁起は、一品経勧進の由来と滞在の目的などを自ら著したもので、華麗な唐紙を用い、宋の名筆・黄山谷流の闊達な筆致で、栄西の代表的な遺墨である。 建仁寺では、曹洞宗の開祖道元や東福寺開山円爾、法燈派の祖無本覚心など、禅宗を発展させた僧たちが、若い日に研鑽を積んだ。また、住職は一つの門派に独占させず、広く有能な人物を登用したことで多様な人材が集まり、歴代住持には蘭渓道隆や一山一寧(いっさんいちねい)の弟子石梁仁恭(せきりょうにんきょう)など中国からの渡来僧が名を連ねている。本展では、こうした建仁寺ゆかりの禅僧にかかわる遺品も展示されている。 さらに、建仁寺といえば俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」をはじめ、海北友松筆の重文「雲龍図」など建仁寺本坊方丈障壁画、山内の塔頭に伝わる工芸や絵画の名品、全国の建仁寺派の寺院などが所蔵する宝物が一堂に集められている。 栄西は永治元年(一一四一)備中(岡山県)吉備津彦神社の社家・賀陽(かや)氏の家に生まれた。十三歳で比叡山延暦寺に登り翌年得度、天台密教を修学した。宋で禅宗が盛んなことを知り、・・・
傳通院で春季彼岸法要会 ワラは一物全体活用の存在
藁からのメッセージと題して講演する宮崎清・千葉大学名誉教授=3月21日、東京・小石川の浄土宗傳通院
ワラは一物全体活用の存在
三月二十一日は春の彼岸の日。各寺院では彼岸法要が、また多くの家族が先祖の墓前に花を手向け手を合わせた。浄土宗傳通院(麻生諦善貫主、東京・小石川)では麻生貫主を導師に春季彼岸法要会が満堂の参詣者と共に厳修された。六家十八人が新たに檀信徒となり、麻生貫主より洒水を受けたのち入檀証が授与された。 午後三時、洪鐘が境内に鳴り響く。吉水講による「蓮のうてなの御詠歌」が奉詠されるなか、楽師入堂、続いて導師、式衆が入堂。諸仏菩薩を道場に迎える三奉請、散華のなか阿弥陀如来・観音菩薩・勢至菩薩を礼賛する三尊礼へと進む。 次に献供・献茶が本尊に供えられる。阿弥陀経読誦に続き開山了誉上人、中興正誉上人をはじめとする歴代上人、檀信徒各家先亡諸霊位、東日本大震災並天災地変物故者諸霊位に回向。十念ののち「彼岸御和讃」が奉詠された。 念仏唱和されるなか、麻生貫主は内陣左手にある檀信徒によって納められた卒塔婆前へ進み、功徳を全ての人に回向する総回向偈が唱えられた。総願偈、送仏偈と続き授与十念を以って法要会は厳粛裡に終えた。 麻生貫主は「私は学校法人淑徳学園理事長として教育に関わっているが、むしろ教えられる事が多い。淑徳学園は浄土宗尼僧・輪島聞声先生によって開校され、創立百二十年を超える女子教育の老舗である。輪島先生は『進みゆく世に遅れてはならない。大いに勉強して有為な人間になって欲しい』と言った。昨今、金属音が巷に溢れ、聞いているうちに心や体が金属のように固くなっていく。『頂きます』『おはようございます』という柔らかな声が聞こえなくなった。法然上人は念仏を声を出して唱えよ、と教えた。日常生活で人の声として聞こえるよう、念仏を唱える人生を送って頂くことを願う」と挨拶した。 法要会に先立ち宮崎清・千葉大学名誉教授(アジアデザイン文化学会会長)が「藁からのメッセージ」と題して記念講演をした。以下は講演要旨。 「藁(ワラ)は日本独自の漢字で中国では稲草と書く。藁という字はクサ冠に高いと書き、一番下は木。樹木と同じくらい価値ある草と読める。 藁は日本人の生活に欠かせない。奥会津は豪雪地帯で小正月行事が今も受け継がれ、雪中田植(稲藁、松の枝、大豆のもみ殻をそれぞれ十二本ずつ雪の中に植える)やサイのカミ(杉の木に藁を巻き付け燃やす)もその一つで、秋の豊作を祈願する。 ドイツで『生態学とデザイン』展があり、経済産業省の依頼で日本各地の藁製品を展示して、最高栄誉賞を受けた。藁製品は世界にも高く評価されている。 米が日本へ入ってきたルートは、@南方A中国から直接B中国│朝鮮半島経由と諸説あるが、今は朝鮮半島経由で落ち着き、弥生前期の紀元前八五〇年頃と推定される。韓国には・・・
<2面>
- 教皇と米大統領が初会談
人権と国際法、宗教の自由の尊重 バチカン
- 首相がツイッターを遮断
イスラム主義的な発想が災い トルコ
<3面>
- 瑞田信弘・浄土真宗称讃寺住職に聞く
『ただでは死ねん』を出して 僧侶に必要なのは「傾聴力」
<4面>
- 春季彼岸会 青空法話
9讃衆が真宗を語る 東本願寺
- 「愛宕信仰と山麓の村」展
火よけ信仰で今も賑わう 京都市歴史資料館
<5面>
- さいたま市延命寺で花祭り
音楽と舞踏が付いて賑やかに
- 高瀬川開削・角倉了以没後400年
豊臣秀次の菩提弔う瑞泉寺 京都市
<6面>
- 人・真言宗醍醐派僧侶 竹重央浄さん
一族弔う使命を果たす
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