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平成20年4月5日号社説 |
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新しい学習指導要領
去る三月二十八日、改正教育基本法に基づく新しい学習指導要領が渡海紀三朗文科相より告示された。総則では「道徳教育」について、「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、公共の精神を尊び、民主的な社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする」とある。 宗教的情操を養う 道徳の項目ではなく総則に「愛国心」を明記したことに対して「強制だ」と批判するメディアが多いが、改正教育基本法に基づけば、教科をはじめ学校活動全体を通して「国と郷土を愛」する心を養うのは自然だろう。むしろ、メディアのほうが時代遅れというか、今の社会に対する危機意識の欠如ではないか。 第二章の各教科を見ると、国語では「昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり、発表し合ったりする」とある。 三月四日、小学館主催の小学生の新人文学賞「第二回十二歳の文学賞」が発表され、大賞に岩手大附属小学校五年の三船恭太郎君(11)の「ヘチマと僕と、そしてハヤ」が選ばれた。作品は、小学生の「僕」と、東京からの転校生「ハヤ」を中心に友情や恋を書いた短編で、ヘチマの成長とともに登場人物を生き生きと描く構成になっている。審査に当たった作家のあさのあつこさんは「作品の素晴らしさに一同、うなってしまった。子どもの力を侮っていた」と称賛していた。 NHKニュースによると、恭太郎君は小さいころから絵本が大好きで、お母さんは日に何十冊も読み聞かせていたという。母や父、あるいは祖父母から語り聞かされる物語は、言葉を手掛かりに空想が膨らみ、子供の心の中で自由に発展していく。小説について恭太郎君は、「登場人物が言葉によって思い通りに変化していくので、ゲームよりも面白い」と語っていた。そんな言葉の不思議を、すべての児童が実感してほしいものだ。 文字が発明される以前から、人間は言葉を語り継いできたのであり、歴史の淘汰を経て残されている昔話や神話、伝承にはそれなりの価値と力がある。子供に語る前に、戦後教育を受けてきた大人たちが見直すべきだろう。 第三章の道徳では、第五、六学年の内容として、「美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ」と書かれている。いわば宗教的情操である。また「保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図るよう配慮する必要がある」として、地域との協力を呼び掛けている。 三月四、五日の神道青年全国協議会中央研修会の開会式で、来賓の山谷えり子参院議員は「放課後や土曜日に、地域と協力した学びの活動を全国六千カ所で始めるので、神職の皆さんにも参加し、子供たちを神社に招くなどしてほしい」と訴えていた。 宗教教育を進めるには、何より宗教側の積極的な参加が不可欠である。信仰を持つ教職者の個人的な努力に頼るだけでなく、教団としての関与に踏み出すべきだろう。それぞれの宗教には人を育てる伝統的なプログラムがある。その一般化、普遍化を図ってはどうだろうか。 宗教による美の発展 国宝薬師寺展を見ると、宗教的感動は美的感動に近いのを感じる。欧米の美術館などで絵画の歴史を概観すると、長い宗教画の時代を経て近代絵画が花開いたことが分かる。その意味では、美術の教科でも宗教の説明を加えるべきだろう。 古代日本の国造りも、仏教を外して論じられない。何より歴史的な事実に基づいた教育が、子供の心に届くように行われることを願う。
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