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  平成25年10月20日号社説
 

自然に即して生きる

 古き良き日本を愛した外国人の一人にラフカディオ・ハーン(小泉八雲)がいる。去る九月三日、島根県松江市で全国敬神婦人連合会の記念大会を取材した折、松江城の隣にある八雲の旧居と記念館を訪ねた。彼が八雲を名乗るようになったのは明治二十九年、東京帝国大学の英文学講師に就職し、日本に帰化してからなので、当時はハーンのまま、奉職した学校にはヘルンと届けたので、地元ではヘルン先生と呼ばれていた。
 「八雲」は出雲の枕詞「八雲立つ」から取ったもので、来日した明治二十三年九月に、彼は外国人として初めて、出雲大社に正式参拝し、千家尊紀(たかのり)宮司と懇談している。

『日本の面影』
 八雲の著作では『怪談』が有名だが、彼の思想がよく分かるのは日本について初めて書いた『知られぬ日本の面影』である。明治二十七年にボストンとニューヨークで同時に発売され、原稿を書き上げたのは熊本にいた時である。
 家の北側にある小さな庭が好きだったハーンは、庭の様子を次のように描写している。
 「大ぶりの草木が茂っているわけではない。そこには青い砂利が敷いてあり、その真ん中に小さな池がある。珍しい植物に縁どられたそのミニチュアの池には、小さな島も浮かんでいる。その島には小山もいくつかあり、小人の国に生(な)っているような桃、松、つつじの木が生えている。その高さは十センチほどしかないが、なかには、樹齢百年を越える古木もある。それでも、この作庭ぶりを庭師の意図した通りに眺めていると、不思議とミニチュアだという印象は受けない」
 八雲は学校から帰ると、飽きることなくこの庭を眺めていた。
 西洋の庭園が幾何学的な秩序性による人工的な美を追求するのに対して、 日本の庭園は自然の中の好ましい景観や仏教的な理想世界を表現するのが特徴である。東海道五十三次の風景や神仙思想の物語を象徴的に表したのが日本の庭園で、散策しながら物語性を楽しむように作られている。
 興味深いのは神道について次のように書いていることだ。
 「神道は西洋科学を快く受け入れるが、その一方で、西洋の宗教にとっては、どうしても突き崩せない牙城でもある。……実際に優秀な学者であれ、神道は何たるかを、解きあかすことはできなかった」
 八雲は、その原因は古事記などの文献のみに頼るためだとし、「神道の真髄は……むしろ国民の心の中に生きているのであり、未来永劫滅びることも、古びることもない、最高の信仰心の表れなのである」と評価している。
 「風変わりな迷信や、素朴な神話や、奇怪な呪術のずっと根底に、民族の魂ともいえる強力な精神がこんこんと脈打っている。日本人の本能も活力も直観も、それと共にある。……日本人の美意識も、芸術の才も、剛勇の熱さも、忠誠の厚さも、信仰の感情も、すべてがその魂の中に代々受け継がれ、はてには無意識の本能の域にまで至っているのである」
 八雲は少年時代に両親が離婚したため、ダブリンに住む父方の大叔母に育てられた。彼女が厳格なカトリック信者だったことからハーンはキリスト教嫌いになり、伝統的なケルト宗教に傾倒した。彼が古い日本に引かれたのには、そんな背景もあったと思われる。

失われゆく日本
 神道は宗教と言うより日本人の生き方であり、日本の風土が生んだ自然に即した人の生き方と言えよう。八雲は「自然や人生を楽しく謳歌するという点でいえば、日本人の魂は、不思議と古代ギリシャ人の精神とよく似ている」とも言っている。
 もっとも八雲は、そんな古き良き日本の文化が失われていくことを嘆きながら同書を書いたのであり、その警告は不幸にも当たってしまった。日本の再生が求められている今、民族の根源にあるものこそ普遍的であり、世界に開かれたものであることを知るべきではないか。問題解決の鍵は、意外と足元にあるものなのである。

クョスコニョ    [1] 
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