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  平成26年3月5日号社説
 

生きる意味を生きる力に

 間もなく東日本大震災から三年目の三月十一日を迎える。政府主催の追悼式が、天皇皇后両陛下御臨席の下、東京・千代田区の国立劇場で開催される。岩手、宮城、福島の東北三県をはじめ全国各地でも追悼や慰霊の催しがあり、大地震が発生した午後二時四十六分に合わせて、黙祷を捧げることになる。
 震災で発生したがれきの処理は、岩手県と宮城県では年度内に完了の見込みだが、原発事故の影響が続いている福島県では遅れている。
 当初約四十七万人に上った避難者は約二十七万人となり、住まいの再建が進みつつあるが、居住地の高台移転などのまちづくりなどは、まだこれからである。津波で被災した岩手、宮城、福島三県の沿岸三十七市町村のうち七市町では、人口が震災前に比べ10%以上減少したという現実もあり、復興の加速化が切望されている。

追悼と慰霊の日
 3・11を前に、昨年の追悼式を政府広報オンラインで見て、東北三県の遺族を代表してことばを述べた人たちと、それを慈父母のように見守る天皇皇后両陛下の眼差しに、改めて心打たれるものがあった。
 岩手県の遺族代表の山根りんさんは、震災直後、高校に迎えにきた母と高台に避難する途中で津波に呑まれ、りんさんは材木につかまり、近くの建物まで泳ぎ着いて助かったが、母は数日後、遺体安置所で見つかったという。
 「あれから二年、あの日より少しだけ強くなりました。亡くなった母への想いと、残された家族や友人、そして多くの方々の支えがあったからです。人と人との絆や温かさを感じ、勇気づけられました。だから今、前を向いて生きることができます……」
 そして、「世界の自然災害が発生した国々で、自らの被災体験を生かした支援活動ができる人材になりたい。東日本大震災がつらい記憶ではなく、未来につながる記憶となるよう、被災地から私たち若い世代が行動していきます」と希望を語った。
 妻と息子を失った宮城県の遺族代表の西城卓哉さんは、「つらい日々がありました。大切な家族を失い、この二年は一日一日を生きることがこんなにも大変なことだったのかと、過ぎ行く時間の重さを感じ続けた二年でした」と心の内を語ることから始めた。
 「自分は何のために生きているのだろう。あの人の生きた日々は幸せだったろうか。答えを出せずにいた」卓哉さんにとって、一つだけ確かだったのは「あなたがいた私の人生は幸せだったということです」。そして、「妻と息子がいつも見ていてくれると思います。自分に残された年月をかけて、二人の人生の続きを、私が歩んでいこうと思う。多くの命の尊さを決して忘れません」と結んだ。
 福島県の遺族代表の八津尾初夫さんは、海岸の松原や緑豊かな農村が失われ、荒涼な風景が広がっている南相馬市の現状を語り、防災の大切さを後世に語り伝えていかなければならないと語調を強め、救援活動に従事した人たちへの感謝の言葉を述べた。
 人間の宗教心は亡くなった人を悼む思いから生まれたとされる。死を思うことが、生きる意味を問うことになり、より良く生きたいという思いが、人間らしい文化を形成してきたと言えよう。愛する人たちや懐かしいふるさとを失った人たちの言葉に、現代ではほとんど世俗化してしまった宗教の原点を見るような気がした。

日本が変わる
 亡くなった人たちともやがて会えるという希望を持ちながら、今を生き、家族や地域、社会への責任を果たしていかなければならないというのも、私たちの現実である。そして、多くの人たちと共に生きているという絆の感覚が、孤立の淵に沈むことを防ぎ、生きる力となるように思う。
 3・11への思いを国民一人ひとりが深め共有することで、日本は大きく変わることができるのではないだろうか。それは、日本人が古来から培ってきた精神文化の再生であり、グローバル時代をたくましく、賢明に生きていく民族の力でもある。そんな思いで三年目の3・11を迎えたい。

 

クョスコニョ    [1] 
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