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平成19年11月20日号[天地] |
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本年度文化功労者に選ばれたイタリア在住の作家、塩野七生さんの話を聞く機会があった。五日午後、文化勲章受章者と塩野さんら文化功労者は皇居・宮殿に招かれ、天皇、皇后両陛下と親しく懇談した。皇后陛下は、イスラム・中東の勉強をしたいのだがいい本がないとおっしゃっていた、という。塩野さんは、歴史は気になる人が書くものなので、これからは優れた中東研究者が出てくるのではないか、とお答えした▼塩野さんによると、文化も経済の支えがあればこそで、レオナルド・ダヴィンチは金を教会に預け、年利約5%で安全に運用していたという。解剖や飛行機などの実験はスポンサーがいないので、高い画料の絵で稼いだ金を注ぎ込んでいた。ミケランジェロら彫刻家は、依頼主から金をもらえるのは彫刻に仕上げてからで、それまで石を切り出すなどの先行投資が必要なため、資産運用をしていた。画家のジョットも建築家のブルネレスキも金貸し業をやっていたという。そんなことを調べて書くので、司馬遼太郎に「塩野七生は東京の女なのに、何で銭のことを書くのか」と言われたそうだ▼高野山の小さな本屋で買った梅原猛さんの『最澄と空海』(小学館文庫)に、最澄と空海はやり方は違うが、どちらも権力と付き合うのに巧みで、その結果、天台宗と真言宗が存在することになった、とあった。釈迦ですら、力と富のある人に頼り、教団を確立している。俗世に生きるには俗世のリアリズムが必要なのだ。
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