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平成20年5月5日号[天地] |
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先日、天地子の家の近くの田んぼで「新嘗祭供御米(くごまい)献穀田播種(はしゅ)式」が厳かに執り行われた。二〇×三〇メートルほどの斎田は竹矢来で囲まれ、入口には白木の鳥居が立っている。国会議員に市長、市会議長以下、市や農協のお偉方が集まり、ミニチュアの神殿の前で神主が神事を行った。十一月二十三日、皇居で行われる新嘗祭に献上する米を作る、そのもみまきの儀式である▼献穀田奉耕者に選ばれたのは七十歳のTさん。定年退職後、地域の人たちと営農集団を立ち上げ、去年からは農業法人の代表として米、小麦、大豆の生産に励んでいる▼でも、それだけでは奉耕者に選ばれない。この日、Tさんは後継者の息子と孫たちと共に式典に臨んだ。農作業するTさんの周りで、いつも遊んでいる子供たちだ。つまり、これからも農業を続ける家族であることが条件らしい▼天地子らは農業法人で共に働く仲間として参加した。今後は六月の早乙女による田植え、九月の刈り取り、十月の献納と新嘗祭に向け行事が予定されている。最後には高校生が一粒一粒、献上米を選ぶという▼世界的な食料不足から、農業の振興による食料自給率の向上が叫ばれているが、その要は後継者の育成にある。若者が農業に希望を持つような環境整備や、何より農業を愛する家族の育成が重要だろう。
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