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平成21年2月5日号[天地] |
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梅の便りに誘われ、鎌倉を歩いた。北鎌倉駅で降りて円覚寺へ。朝日を浴びて白梅が輝いていた。講義のような声が漏れてくる庭に、スイセンが群生して、黄色い花びらを揺らせていた。勢いよく駆けてきた若い僧が、ふと足を止め、お辞儀して通り過ぎる▼東慶寺は女性の駆け込み寺としても知られるが、幸せそうな女性たちが大勢押しかけていた。寒い中、ひたすらシャッターチャンスを待つ老人が。高級カメラを手に、時間はいくらでもある。どこでも同じような我慢強い老人に出会う。本堂前の紅梅に朝日が差し始めると、狙い時だ▼浄智寺から峠を登り、山越えをする。葛原岡神社は参道の赤い椿が満開で、雪を被った富士山も見えた。山道を下って寿福寺に出て、海蔵寺へ。数人が地面にカメラを向けていたのを見ると、福寿草だった。本堂脇には、天に向かって松がすっくと立っていた。その立ち姿の美しさに見とれる。それに合わせたのか、紅梅も上に伸ばして仕立てていた▼鶴岡八幡宮は相変わらずの人出。石段脇の紅梅は、やっと二つだけ開いていた。そこで、少し足を延ばして筆供養でも知られる荏柄天(えがらてん)神社へ。社殿の左右に白梅と紅梅が満開。おみくじを結んだ束の下に、紅梅が散り積もっている。空の青、山の緑、社殿の朱に梅の白と赤が映え、日本の色の美しさを感じた半日だった。
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