岡山県倉敷市の円通寺に良寛さんの足跡を訪ねた七月二十二日は皆既日食が見られる日。お参りを終え、円通寺公園から降りてきたところの駐車場で、数人が太陽を見上げていた。貞心尼の『はちすの露』を抱えている女性に観測グラスを借りて、うす曇りの空を見上げると、三日月のようになった太陽がはっきり見えた。デジカメでも撮ってみたが、焦点が合わなくて駄目。三日月の木漏れ日はきれいに撮れた▼面白かったのは、円通寺公園の頂上に愛宕権現のお堂があったこと。昔はもっと大きなものだったらしい。戦の神なので、この地を治めた武将が祀ったのだろう。京都の愛宕権現を越後の春日山に勧請した上杉謙信を思う。命のやり取りをしていた武将のほうが、その心配のない今の私たちより、よほど真剣に信仰していたのだろう▼そこから車で二十分ほどのところに、金光教の本部があったのでお参りする。金光教の神をまつり、取次を行う会堂には祈る信徒の姿があり、結界で教主が取次を行っていた。教主は毎日、そこに座っていて、どんな人でも求めれば神との取次を行っていることに感動する。宗教の一つの純粋なあり方だ▼それにしても岡山には修験道の熊野神社や黒住教本部もあり、上記の最上稲荷もある。吉備王国の昔から、宗教性豊かな風土なのだろう。
|