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平成22年4月20日号[天地] |
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四月十日午後一時から始まる下社御柱祭の「木落し」を見るため、川崎市のJR南武線武蔵新城駅を発ったのは五時五分。長い車中と待ち時間を覚悟して、ダン・ブラウン著『ロスト・シンボル』の上下をナップサックに入れた。『悪魔と天使』はまるでローマの名所めぐりだったが、本作はワシントンDCの名所めぐり。シンボルを扱う点では御柱祭と同じだ▼「監督教会の信徒として育てられたので、子供のころはとても信仰心が篤かった」と言うブラウン氏。中学生になって科学のほうが合理的だと思い、宗教から離れた。ところが、「科学を学べば学ぶほど、物理学が形而上学へ、数が虚数になってしまうのがわかった」ことから、「科学には秩序があるが、スピリチュアルな面もある、と思い」宗教に回帰する▼米国はピューリタンと言うより理神論者によって建てられた国だが、ジョージ・ワシントン初代大統領を神のごとく崇めるなど、数々の建国神話を創造してきた。それにかかわったのがフリーメイソンで、彼らの究極の秘密を解明する物語が本作。読者を喜ばせるサスペンス仕立てになっている▼木落しを横から見る斜面を見つけ、腰を下ろしたのは午前十時。隣の若者は朝五時から場所取りをしていた。有料席を確保した人以外、大多数は木落しの目撃が不可能なのを思うと、今回も神に導かれた贅沢な旅だった。
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