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平成23年4月5日号[天地] |
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三月は自治会長改選の時期、一年務めた天地子は最後の仕事として、繰越金の中から義援金二十万円の支出を、黙祷で始めた総会に諮り、全員の了承を得た。家庭では、これまで以上に小まめに節電するようになった▼野菜農家の人が、出荷が終わったブロッコリーの脇芽を取ってもいいと言う。焼きそばに入れても、蒸してもおいしい。何袋も取ってくると、妻が知人に配った。大震災を機に何かが変わろうとしている▼広島・宮島口で泊まった格安のホテル。夕食は五百円を出し合い、白菜と豚肉の鍋を囲んだ。大学を卒業する若者は、エチオピアで二年間、青年海外協力隊の活動をするという。歴史を学んでいる仏教系大学二年生は、中国におけるキリスト教宣教を研究したい、と。自由に伸びる若い芽が明日の日本をつくっていく▼厳島神社の背後にそびえる弥山(みせん)に朝、一時間半かけて登った。山頂近くには、大同元年(八〇六)唐より帰朝した弘法大師が立ち寄り、護摩を焚いて求聞持(ぐもんじ)の修法を行った時から伝えられている「不消(きえず)の火」が薪をくゆらせていた。神仏分離の維新まで、神社と真言宗大聖院(だいしょういん)は一体だった▼別の道を下りると、フランス人の若い夫婦に出会った。宮島も外国人が多い。世界が日本という風土と文化に惹かれている。
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