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平成26年3月5日号[天地] |
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春になると四国では、八十八箇所巡りをするお遍路さんの姿が目立つようになる。空海・弘法大師が八十八の四国霊場を開いたのは千二百年前、四十二歳の時とされる。もっともその頃の空海は、最澄との確執を深めたり、嵯峨天皇から修禅の道場として下賜された高野山の開創に着手したりしていたから、四国をゆっくり回るような時間があったのか、不思議に思わないでもない▼空海は初めて唐から体系的な密教を持ち帰り、卓越した才能で教理や修行法、儀礼、設備などを整え、高野山で入定した。醍醐天皇から弘法大師の諡号を贈られた空海への崇拝が高まり、青年時代に修行した四国の霊場(多くは険しい山や海岸の洞窟だが)を修行僧たちが巡るようになったのが、四国遍路の始まりだろう▼最後の三カ寺、八十六番札所の志度寺は海岸に、八十七番札所の長尾寺は町中に、八十八番札所の大窪寺は山の中にあり、ここで結願する。志度寺から見える瀬戸内海は、真魚(まお)と呼ばれた少年空海が眺めた海で、沖を行く遣唐使船を見たかもしれない▼町ではお接待する人と触れ合うが、山道に差し掛かると、自然の中でもっぱら自分と語り合うようになる。観光地理学が専門で自ら八十八箇所を歩いた稲田道彦・香川大学教授は、四国遍路は「人生を考えるツーリズム」だと言う。なるほどと思う。
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