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平成18年6月20日号[天地] |
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田植えが終わったこの時期、夕方になるとカエルの声がにぎやかだ。二十年ほど前、息子を連れて帰省した時には、驚くほどカエルがいなかった。「話が違うじゃないか」と怒る息子のため、村外れの小さなため池まで行って、やっとカエルを捕まえたものだ。その後、農薬の使用を控えるようになり、カエルも徐々にその数を回復した▼昔の米作りは草との闘いだった。炎天下での草突きが父母を苦しめた。除草剤が開発され、その苦労から解放されたが、一方、田んぼから多様な命が失われた。今では、天地子の辺りでは、除草剤の使用は田植え後の一回だけで、それも雑草の発生を抑えるだけの、ほかには毒性は少ないものになった▼もう少しすると、緑を深める田にシラサギが舞うようになる。若山牧水が「白鳥は哀しからずや」と詠ったのは海の風景だが、一面の緑の背景の方がコントラストがいい。農家に生まれ、父母の手伝いをしながら大きくなったのに、農家を継ぐことのできない自分を、そこに重ね合わせる。どの国でも農業で生計を立てるのは厳しい▼自治会の集会で農業法人化の議題が出された。農協職員の説明では、WTO(世界貿易機関)の決まりで、大規模経営にしないと政府の補助はなくなるという。グローバル化の影響は、むしろ田舎ほど深刻だ。中核になっているのは定年後の人たち。郷土の緑を守りたいという強い思いが、日本の農業を支えている。
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